いつの時代もロックは普遍的な人気があります。
日本でもロックフェスは人気で 「フジロックフェスティバル」「サマーソニック」「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」「ライジング・サン・ロック・フェスティバル」は夏の4大ロックフェスともいわれています。
どのフェスやイベントにも色んなジャンルのアーティストやバンドが出演しているので、色んな音楽に触れられるのも楽しさの一つではないでしょうか。
そんな色々なジャンルが出演しているイベントを見ているとパンクバンドやメタルバンドも出演していますが、そもそもパンクと他の音楽との違いは何でしょう?
あまり音楽に詳しくない人からするとどのような違いがあるか気になるはず。
今回は、パンクロックにフォーカスして、パンクとロックの違いやパンクの種類を紹介したいと思います。
パンクロックとは?
パンクロックは、1970年代半ばにディスコミュージックやポップスが音楽チャートを独占した時代にカウンターとして登場したロックンロールのひとつ。
パンクを演奏していたミュージシャンは、メインストリームだったポップミュージックに対抗する形で有名になっていきました。
パンクは、エネルギッシュな演奏に、速くて短い楽曲、歌というよりは叫びに近いボーカルスタイル、DIY (Do It Yourself) の精神が特徴です。
パンクロックが最初に生まれた場所には諸説ありますが、同時期にロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン、サンフランシスコ、ワシントン DCで強力なパンクシーンが誕生。
パンクロックは多くの若いミュージシャンに影響を与え、その後他のジャンルに派生や分岐をして今日まで新しい形のパンクロックが展開されています。
90年代に流行したグランジのパイオニアであり、ニルヴァーナのリード シンガーであるカート・コバーンは、パンク ロッカーではありませんが、彼自身はキリング・ジョークやジャームスなどのパンクバンドの影響下にあったと発言しています。
パンクロックの簡単な歴史
パンクロックのルーツは 1970 年代のロンドンにまで遡ります。
また一方でパンクロックは同時にニューヨークでも始まっていたと主張する人もいます。
まずはパンクロックの起源と、イギリス、アメリカ、アメリカのニューヨークなど当時のパンクロックが隆盛だったエリアごとにパンクロックの誕生について見てみましょう。
パンクロックの起源は1960年代のガレージ ロックとされています。
演奏技術が低いほとんどアマチュアのミュージシャンによって開拓されたガレージ ロックは、既存の確立された音楽のルールを無視することが特徴でした。
音楽におけるルールを無視することで、アーティストは自由に実験的な音を奏でました。
ガレージロックの持つエッジの効いた生々しいエネルギッシュなサウンドが、後のパンクロックの基礎となっていったのです。
まずはイギリスからです。
ロンドン
70年代、イギリスの経済は不況で失業率は高く、若者たちは国や政治に対しての怒りや不満を抱いていました。
これらの状況は、反抗的で政治的な主張をするパンク ロッカーを生み出すための理想的な環境となっていたのです。
ブリティッシュパンクのシーンでは、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ダムド、バズコックスなど今やレジェンドと呼ばれるパンクバンドが結成されました。
初期のバンド達は、キャッチーなメロディーとガレージ ロックのエッセンス、ハード ロックのスピードなどに影響を受けたパンクロックを演奏していました。
アメリカのパンクロックにとってニューヨークとデトロイトは聖地とも呼べる場所です。
60年代後半から70年代前半にかけてパンクロックの礎となるバンドを生み出しました。
デトロイトでは、MC5とザ・ストゥージズが生々しい歌詞と強い政治的メッセージで道を切り開き、一方、ニューヨークではアンディー・ウォーホールのバナナのジャケットで御馴染みのザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドらが出現。
パンクロックのプロトタイプと呼ぶべきバンドの出現は、何世代にも渡って後のパンクバンドに影響を与えます。
ブリティッシュパンクはニューヨークのパンクシーンにも影響を与えていたとされ、
ラモーンズ、ブロンディ、テレビジョン、パティ・スミス、リチャード ヘル、ニューヨークドールズなどのバンドが活躍。
CBGB のような伝説的なライブハウスで一緒に演奏し、パンクロックというサウンドと文化を発展させていきました。
フォード、GM、クライスラー とアメリカ3大自動車メーカーが存在し、製造業で名を馳せたアメリカのミシガン州デトロイト。
パンクロックの起源や誕生自体はニューヨークの方が早いとされていますが、デトロイトでもパンクロックは隆盛を極めます。それ以前にもMC5やザ・ストゥージズを輩出したデトロイトもパンクロックにおける聖地のひとつといえるでしょう。
ニューヨークやデトロイト以外でもパンクロックはアメリカ全土で拡大、パンクロック シーンは、ロサンゼルス (X、ジャームズ、ブラック フラッグ)、サンフランシスコ (デッド ケネディズ)、ワシントンDC (バッド・ブレインズ、ブラックフラッグ)などで人気となっていきます。
1970年代後半までに、パンクロックはアメリカとイギリスで人気が爆発。その後はパンクロックの中で細分化し枝分かれしていきます。
パンクロックはジャンルが細分化されたことや、人気の衰退期もありましたが、完全に消滅したことはなく現在も人気の音楽ジャンルの一つとして存在しています。
パンクロックってどんな音?
パンクロックの音楽的な特徴は、一般的には従来のポップスやロックよりも速く、エネルギッシュで攻撃的なサウンドにあります。
多くのパンクロッカーは労働者階級の出身でラジオを聴きながら育っています。フォークロック、ブリティッシュロック (ビートルズやローリング・ストーンズからキンクスまで)、カントリー ミュージック、ロカビリー、60年代のサイケデリックなどの音楽に触れながら生活することが日常でした。
ラモーンズ、セックス ピストルズ、デッド ケネディズなど多くのパンクバンドのサウンドにはそういった多様な音楽ジャンルからの影響が見て取れます。
ロンドンでは、ザ・クラッシュがレゲエからインスピレーションを得たり、 ワシントンDC出身のバッド・ブレインズ もレゲエやスカなどのジャマイカンミュージックの影響下にあったりと、初期のパンクバンドのサウンドには多様性もありました。
パンクロックの特徴とは?
パンクには多くの意味があり、音楽だけでなく本質的には反体制派を指す言葉でもあります。
クラシックなパンクロックの音楽的な特徴は、スピーディーで短い楽曲、シンプルなメロディーとハーモニーですが、歌詞はほとんどが反体制的な内容でした。
パンクバンドは、DIYの精神と独特のファッションでも知られており、モヒカン刈り、革ジャン、革パンツ、ダメージシャツなどのハードで エッジの効いたビジュアルを信条としていました。
パンク・ロックの種類
ロックの中の一ジャンルでもあるパンクロックの中にも複数の種類があり、パンクロックが誕生してから現在まで細かく枝分かれしながら派生を続けています。
ハードコアパンクは 1980 年代と 1990 年代にニューヨークとロサンゼルスで爆発的に広がり、ブラック・フラッグ、ミスフィッツ、ゴリラ・ビスケッツなどが人気になっていきます。
余談ですが株式会社ZOZOで有名になった前澤勇作さんはニューヨークハードコアバンドのゴリラビスケッツの楽曲スタートトゥデイを社名に付けています。
サウンド的には、パンクロックのスピーディーで攻撃的な要素をディフォルメしたのがハードコアパンクといえます。
初期パンクにあったポップでキャッチーな要素は少ないです。
ポストパンクは、パンクロックのハード エッジを取り入れ、より洗練されたハーモニーと曲の構造が特徴です。
有名なポストパンクバンドには、フガジ (元マイナー スレットのイアン マッケイのバンド)、ギャング・オブ・フォーなどがあります。
一部のポストパンクのバンドは、よりポップになりながら実験的な音楽活動へとシフトしていきます。
ソニックユース、ヨ・ラ・テンゴ、メルヴィンズなどのグループは、ポップなフックとオーバードライブされたギターノイズの両方を兼ね備えたサウンドに発展させました。
ジョイ・ディビジョン、ニュー オーダー、ブロンディ、トーキング ヘッズなど1970年代後半から1980年代前半に、パンクロックのカウンターとして登場してきたグループやミュージシャンのサウンドはニューウェイブと呼ばれています。
1990年代に入るとグリーンデイ、オフスプリング、ブリンク182、ザ ストロークス、ランシドなどのパンクバンドが数百万枚のアルバムセールスを実現するほど人気になりました。
これらはポップパンクとも呼ばれ、初期のパンクバンドでも、ラモーンズ、バズコックス、ザ・ダムドなどのポップでメロディアスなバンドに影響を受けた次世代のバンドによるパンクロックです。
日本ではメロディックなハードコア、メロコアとしても人気でした。
まとめ
パンクロックは、ロックの一部であり包括されている音楽ジャンルです。
しかし、その歴史は複雑で、ジャンルの正確な起源を特定することは難しいため、今でも熱く議論されています。
過去を振り返ってみれば同じ時代にイギリスでもアメリカでもエネルギッシュで激しいパンクロックが生まれたのは興味深いですね。
パンクロックに興味を持ったらまずは動画サイトやサブスクリプションサービスで自分好みのバンドを見つけることから始めることをおすすめします。