「邦楽」と「洋楽」の音楽的な違いとは?メロディーやコード進行、歌い方を比較して解説

「邦楽」と「洋楽」の音楽的な違いとは?メロディーやコード進行、歌い方を比較して解説

日本ではバンドが昔から人気で、ギターはその中でも人気の高い楽器でバンドを組む時にはギタリストになりたい人は多いでしょう。

今でもCD の売り上げは依然として市場シェアの半分をはるかに超えています。

世界ではストリーミングサービスのシェアが65%を超えていますが、日本でのストリーミングの売上は半分以下で、まだCDによる売上の方が高いという事実があります。

また音楽業界では乃木坂46や欅坂46のようなグループアイドルのシェアも高く、メジャーではない地下アイドルまで含めると、アイドルも日本の音楽ジャンルにおいては一大勢力といえます。

この様に世界の音楽市場のトレンドと比較した時に、日本の音楽は独特の形態を保って進化してきたことから、ガラパゴス化しているともよく言われます。

音楽産業以外にも、日本のほとんどの産業は現代のテクノロジーや慣習を無視してきた国です。日本の産業は、日本のニーズに合わせて進化してきた歴史があり、音楽産業においてはガラパゴス化がより顕著に見られます。

しかし、ガラパゴス化がマイナスかというとそういう訳ではありません。

音楽市場で見れば日本の音楽産業の市場は世界2位です。

今回はガラパゴス化した日本の音楽市場や、邦楽と洋楽の音楽的な違いを解説します。

実は2番目に大きな音楽市場を持つ日本

日本は、アメリカに次いで世界で2番目に大きな音楽市場を持つ音楽大国となっていることを知っていますか?

その理由としては、YouTube、TikTok、ニコニコ動画などの動画プラットフォームやSpotify、LINE MUSIC、Apple Musicなど定額制の音楽配信サービスが普及しつつある中でも、CDの売り上げがその地位を支えていると言われています。

日本レコード協会の発表によれば、2021年の日本の音楽市場において、CDやレコードを含むオーディオレコードの売上は約1279億9200万円、ストリーミングを含む音楽配信の売上は895億3800万円となっています。

世界全体を見ればストリーミングサービスの市場シェア率は65%を超え、将来はさらにシェア率が増える見込みですが、こと日本の音楽市場においてはストリーミングサービスよりもフィジカルと呼ばれるCDやレコードの方が依然シェア率は多いのです。

また、DVDなどの音楽ビデオジャンルの売上げを加味すると、2021年における日本の音楽市場の総売上は2,832億円となり、ストリーミングサービスの日本全体の音楽市場におけるシェア率は50%以下に留まっているのが現状です。

※出典:日本のレコード産業2022より

ただし、日本の音楽市場でCDのシェア率が高い理由には、アイドルがCDに特典回の参加権を付けたり、収録曲が違うバージョン違いをリリースすることでファンに複数購入してもらうアイドル文化が大きく影響しています。

Z世代と呼ばれる若い世代になると、CDを購入したこと自体がない人も多く、将来的にはCDの売上や販売枚数はシュリンクしていくと予想されています。

邦楽と洋楽の音楽的な違いとは?

実は世界的に見ても大きな音楽市場を形成している日本の音楽市場ですが、どの辺が洋楽と違うのでしょうか。

邦楽と洋楽における、いくつかの明確な違いをリズムやメロディー、音楽的価値観などの面から見てみましょう。

1.リズム・メロディ:リズムよりもメロディ重視なの邦楽

邦楽と洋楽で違いがはっきりしているのはリズムとメロディです。

大まかにいえば邦楽はメロディを重視して、洋楽ではリズムを重視しています。

邦楽の場合

邦楽において一番重要視するのがメロディで、曲の中で一番強調されるのがボーカルです。

歌を一番前に出すミックスで、歌が前面に出ているのが特徴です。

曲の構成もAメロ、Bメロと続き、サビで一気に盛り上げるスタイルが取られています。

洋楽の場合

一方、洋楽において強調されるのはリズム楽器であるキックドラムです。

全体的にノリを優先して作られており、身体を揺らしたり踊ったりできることを意識して作られています。

メロディに関しても邦楽のようにタメる概念がなく、特にサビだからといって盛上るメロディを後半に配置することも特にありません。

リズムには、表と裏があります。

通常は「1・2・3・4・」と拍をとる表に対して、裏とは「1・2・3・4・」の「・」のアクセント部分にあたります。

表迫は音楽の聞こえる通りのリズムで、手拍子で例えると、手を打った後の休みの部分が裏拍になります。

裏拍は自分でリズムを取る必要があり、よりグルーヴィーに耳が捉える特徴があります。

楽曲の構成:サビ重視の邦楽

邦楽ではサビの部分で一気に盛上るように高揚感の高まる構成ですが、洋楽にはサビの概念がありません。

邦楽の場合

邦楽における楽曲の構成は、Aメロ→Bメロ→サビのパターンが一般的ではないでしょうか。

サビの部分で盛上りを最高潮に持っていってリスナーにカタルシスを感じさせるために、Bメロで一旦落ち着くケースも目立ちます。

洋楽の場合

邦楽におけるサビの概念が洋楽にはありません。

Verse→Chorusが基本構成で、Chorusの前にPre-Chorus、Chorusの終わりにBridgeと呼ばれる繋ぎ部分があるのが一般的な構成となっています。

邦楽、とりわけJ-POPに慣れた耳で洋楽を聴くと、どこか地味に感じてしまうのはそのためです。

音楽的価値観:歌詞のメッセージ性やバックグラウンドを重視する邦楽

邦楽と洋楽では音楽的な価値観も異なっています。

音楽的な価値観とは、音楽を聴くときに重視するポイントと言い換えられます。

邦楽の場合

日本人は音楽を聴くときに、歌詞やアーティストのバックグラウンドを特に重要視しているといわれています。

「どんな曲か?」よりは「誰の曲か?」を重視している傾向にあります。

歌詞におけるメッセージの共感性を大事にしているのも特徴の一つです。

洋楽の場合

欧米では、音楽において重要視されているのはノリで、「踊れる」ことがなによりも重要とされています。

何故そこまで「踊れる」ことやノリが重要視されるかといえば、クラブやパーティ文化が一般的だからです。

海外の青春映画でもプロムやホームパーティーなど音楽にノッて踊る場面が多いですよね。

そう考えると、過去に日本から海外進出を試みたアーティストはたくさんいましたが、ヒットした人が少なかったのは日本と海外における音楽的な価値観、メロディ主体かリズム主体かの違いも影響していたのかもしれません。

コード進行:起伏や展開が多いのが邦楽

メロディ重視でサビを盛上げる必要のある邦楽では、起伏の激しいコード進行が特徴です。

邦楽の場合

邦楽は展開が多くAメロ、Bメロ、サビと異なるコード進行を使い、楽曲全体の起伏が激しくなっているのが特徴です。

旋律の綺麗なメロディーを付けやすいのは邦楽といえます。

洋楽の場合

一方、洋楽では4つくらいのコードをループさせて進行させるシンプルな構成が多く見られます。

歌い方:子音よりも母音を強調して歌うのが邦楽の特徴

邦楽と洋楽では歌い方においても大きな特徴の違いがあります。

邦楽の場合

邦楽における歌唱では、メロディーの音程変化が非常に多く、常に音程が動いています。

日本語は発音がかなり柔らかい言語でもあるので、はっきりと発音するよりも滑らかでメロディアスな歌唱が特徴的です。

洋楽との違いとしては、邦楽では母音を強調する歌い方になる傾向があります。

邦楽だけど洋楽のように聞こえる歌がありますが、その場合はメロディーの音程変化を少なくしているはずです。

そして、この歌唱が得意なのがサザンオールスターズの桑田佳祐さんです。

洋楽の場合

逆に歌唱におけるメロディーの音程変化が少ないのが洋楽です。

発音が明瞭な英語の特徴と相まって、歌もリズミカルに躍動感に溢れているように聞こえます。

邦楽と比べると、母音よりも子音を強調している傾向にあります。

まとめ

J-POPが浸透した90年代には洋楽のテイストが邦楽にも多く取り入れられることとなりましたが、それでも邦楽は世界的に見ても独自の進化を遂げたといえるでしょう。

ガラパゴス化と揶揄されることもありますが、気が付けば世界2位の音楽産業が発展しているくらいですからガラパゴス化も悪くありませんね。

邦楽と洋楽のどちらが優れているといった観点ではなく、どちらも楽しく聴くことができてこその音楽ファンではないでしょうか。

ジャンルにとらわれるのではなく、色んな音楽を聴くことで理解を深めて、それぞれの音楽を楽しんでみてくださいね。

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