J-POPや音楽を取り巻く環境はどのように変わったか?1990年代から現在までの最新音楽事情を解説

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音楽業界は、過去10年間で劇的に変化しました。

CDの売り上げは激減し、人々の音楽の聴き方が大きく変化しました。

現在、J-POPのアーティストはストリーミングやYoutubeやTikTokなどのSNSを経由して音楽を発信しています。

そして、多くの若いアーティストがこの新しい環境で成功を収めています。

その流れは日本だけでなく世界中で顕著になってきました。

J-POPの登場から英華を極めた1990年代から現在まで、音楽市場はどのように変わってきてしまったのかを振り返ります。

音楽産業が栄華を極めた1990年代

1990年代は、J-POPが一番輝いていた時代です。

そして、音楽産業が栄華を極めた時期でもあります。

この頃、CDのセールスは急激に伸び、当時のヒット曲やアーティストは大きな影響力を持っていました。そして、1990年は、大衆向けのJ-POPに多様な音楽性が影響を受けた時代でもあります。

J-POPが普及した大きな要因には、

・トレンディドラマのヒット

・ロック、ポップス、ハウス、R&B、テクノなど洋楽の表現方法が導入された

・カラオケの普及

などがあるとされています。

小室哲哉プロデュース楽曲はJ-POP史上を席巻し、それまではプレーヤーであった小室哲哉さんが音楽プロデューサーとしても真価を発揮。

特に海外のダンスやテクノシーンに熱心で、安室奈美恵さんやglobeなどの楽曲に当時としては珍しかったダンスミュージックを導入しました。

また、1990年代には、テレビ番組や映画などでも音楽が大きな役割を果たしました。その最たるものが90年代初頭のトレンディドラマです。

この若い俳優による都会的な男女の恋愛ストーリーを軸にしたドラマは多くの視聴者が虜になり、その主題歌に起用された楽曲はミリオンヒットになることも珍しくはありませんでした。

多くのアーティストやミュージシャンは、テレビや映画などでの活躍を通じてより人気を高めていった時代でした。

トレンディドラマやカラオケなどJ-POPと親和性の高いコンテンツとの相乗効果で1990年代にはミリオンヒットが連発。

売上も日本の音楽市場では最高記録を達成し、90年代は音楽においては本当に黄金時代だったのです。

1990年代と現在の音楽産業の違い

しかし、1990年代が終わりを告げ2000年代に入ると徐々に音楽を取り巻く環境が変化していきます。

音楽をダウンロードすることができるサービスが登場したからです。これにより、一般の消費者が音楽を聴く方法が大きく変わっていきます。

1990年代と2000年以降ではどのように音楽を取り巻く環境が変わったかを解説します。

CD売上の減少

過去10年間で、音楽業界では CD の売り上げが急激に減少しています。

これは物理的なアルバムを購入するよりも、デジタルで音楽を購入・利用するほうが手軽で安価だからです。

これは多くの音楽ファンにとっては、新しいアーティストや楽曲と出会える楽しさは増えるもの。CD売上には大きなダメージとなりました。

CDが売れなくなることで、街のレコードショップなどが徐々に姿を消していき、音楽産業に大きな影響を与えます。

CDを購入する人が減ると、収益が減少し、これらの企業や個人が生き残ることが難しくなってきたのです。

ストリーミング サービスの台頭

ここ十年での音楽業界の最も大きな変化は、ストリーミングサービスの台頭です。

Spotify、Apple Music、YoutubeMusicなどは、人気のプラットフォームです。

1990年代には、テレビやラジオなどを通じて音楽を知ることが多かったのに対し、2010年代以降では、サブスクリプションサービスやストリーミングサービスなどを通じて音楽を聴くことが一般的になりました。

音楽を聴く方法が大きく変わったのです。

これらのサービスは、スマートフォンで簡単にアクセスできてお気に入りのアーティストや新しいアーティストをすぐに発見できる強みがあります。

音楽ファンには、自国だけでなく世界中の音楽とアクセスでき、新しい音楽を発見するのが簡単になりました。

そして、何といってもCD やダウンロードで購入するよりもはるかに手頃な価格でシングルやアルバムが買えるのです。

ストリーミングサービスが2000年初頭に出現した時はアーティストによる論争も起き、プラットフォームから受け取る低いロイヤリティに対して不満を表明する人も多くいましたが、現在ではストリーミング サービスの利用は当たり前になっています。

今後もさらに音楽業界に大きな影響を与える可能性があると見られています。

ライブフェスの隆盛~モノ消費からコト消費へ~

ライブパフォーマンスは、アーティストやファンにとって音楽体験に欠かせないものです。

多くのアーティストにとって、ライブで演奏することは、聴衆とつながり、ファンを獲得するために不可欠であり音楽にとっては普遍的な価値を持ちます。

近年、ミュージシャンは YouTube やSpotify などのプラットフォームを通じて、より多くのリスナーとオンラインで音楽を共有できるようになりました。

それを証明するものが、90年代後半から開催されるようになった「フジロックフェスティバル」や「サマーソニック」のような音楽フェスティバルの隆盛です。

音楽フェスの流行は、「モノ消費からコト消費への変遷」という社会的背景を反映していると言われています。

「モノ消費」とは、物品やサービスを購入して消費することを指し、一方、「コト消費」とは、体験や感動を求めて消費することを指します。

1960年代から1970年代にかけて、「モノ消費文化」が盛んであったため、音楽フェスはあまり流行しませんでした。そのため、1970年代後半から1980年代にかけて、音楽フェスは少しずつ人気を博しました。

そして、1990年代以降、「コト消費文化」が盛んになっていったため音楽フェスはますます人気を博すようになりました。

また、「コト消費文化」においては、体験や感動を求める人が増えたため、音楽フェスでのライブや他のイベントを体験することが、人々にとって魅力的になったと考えられます。

レーベルの価値の低下

現在では、レコードレーベルの役割は大きく変化してしまいました。

レーベルとは元々レコードの中央部に曲名・演奏者などを記してはる円形の紙を指していましたが、いつしかレコードの制作・販売にあたる会社やブランドまでを含んでいます。

ストリーミングサービスとデジタルダウンロードの出現により、音楽はよりアクセスしやすくなりました。

その結果、アーティストは音楽の配信をレーベルに依存しなくても自分自身でできるようになったのです。

さらに、SNSによってアーティストとファンの間に直接的なつながりが生まれ、レコード レーベルの必要性はさらに減少。

一部のレコードレーベルは、マーケティングとプロモーションに焦点を移すことでこれらの変化に適応していますが、過去に取り残されてしまったレーベルは激化する音楽市場で生き残れるかは微妙です。

人気曲の多様化

世界では一気にCDの売上が減少しましたが、日本においてはそこまで急激ではありませんでした。それは、2010年前後に発生した「アイドル戦国時代」と呼ばれるアイドルムーブメントによるものです。

これはAKB48のようなグループアイドルが握手や特典回への参加権をCDに付与したことで、1人のファンが何枚も同じCDを購入するシステムができたからです。

またCDの売上以外にも着うたやi Tunesなどのプラットフォームでのダウンロードもランキングに含まれることでヒット曲の判定が難しくなっていった現象が起きてしまいます。

100万枚売れたシングルでも知らない世代や層が存在するという、1990年代には起こりえなかった現象が起こるようになってきたのです。

YouTube、TikTokなどから生まれるヒット曲

2010年代以降はソーシャルメディアからヒット曲が生まれる傾向が強くなります。現在もYoutubeやTikTokを経由したウケた楽曲が若い層を中心に広まっていっています。

CDの時代からは考えづらいですが、ストリーミングやデジタルでの楽曲配信とYoutubeなどのソーシャルメディアとの相性は良かったのです。

また2000年以降に誕生したボーカロイドと呼ばれるデジタルでの音楽再生システムやDTMが流行したことが、現在のヒット音楽を後押ししていると考えられています。

DTMは実際に楽器を演奏することなく、特定のソフトウェアがあればPCで音楽が作れることが大きな特徴です。これは音楽制作に対するハードルを下げ、若い才能が市場に入ってくることにつながりました。

まとめ

音楽業界はここ10年間で大きく変化しました。

一番の変化は音楽を体験する方法が大きく変わったことでしょう。

ストリーミング サービスの台頭から CD販売の減少まで、J-POPだけでなく音楽業界が流動的な状態にあることは誰の目にも明らかです。これからの音楽業界の行く末もどうなるかは読めない部分があります。

しかし、変わらないことが1つあるとすれば、それは私たちの音楽への愛ではないでしょうか。

CDでもストリーミングでも、音楽を愛し楽しむ姿勢があればどんな時代も楽しく過ごせるはずです。

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