ちょっと雰囲気のいいレストランやバーではBGMとしてジャズが流れていることからも、日本ではジャズという音楽ジャンルはお洒落で上品なものとして捉えられています。
日常的に、普段の生活の中でもよく耳にするのでジャズ自体は一般的ではありますが、実はどんな音楽かは知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、ジャズの歴史から特徴を紹介して、ジャズとはどんな音楽なのかを解説します。
ジャズとは?
ジャズは、複雑なハーモニー、シンコペーションのリズム、即興に重点を置いた幅広いスタイルの音楽といえます。
ジャズの大きな特徴はなんといっても「即興演奏」で、いわゆるアドリブと呼ばれ、楽譜にはないメロディーをその場で奏でていくスタイルはジャズの真骨頂といえるでしょう。
ジャズは歴史が古く、その起源は1900年初頭とされています。
ジャズを現在のようなスタイルに昇華したのは、ルイジアナ州ニューオーリンズの黒人ミュージシャン達で、20世紀初頭には現在のようなジャズスタイルがスタンダードになりました。
ニューオーリンズは長い間、米国の音楽の中心地の1つと考えられており伝統をしっかりと育んできました。
有名なジャズピアニストのジェリー・ロール・モートンやルイ・アームストロングなどの初期のジャズミュージシャンは、即興演奏を行い、まったく新しいジャンルの音楽をアメリカに生み出したのです。
いつしかジャズはスタンダードな音楽ジャンルにまでなり、他のポピュラー音楽であるポップ、ロック、ファンクなどを受け入れるまでに進化してきました。
ジャズの歴史とは?
ジャズの歴史は意外と古く、1900年代初頭が起源とされています。
誕生から幾度となく革新的なジャズミュージシャンによって変化と進化を繰り返すことで現在のジャズのスタイルに落ち着きました。
1900年代初頭
ジャズの起源を語る時、20世紀初頭のニューオーリンズにまで遡る必要があります。
そこでは、ジェリー・ロール・モートン、キング・オリバー、ルイ・アームストロングなどのミュージシャンが、パレードのラグタイム、ブルース、ホーン・セクションから影響を受けて演奏したことが起源とされています。
ラグタイムとは、19世紀末から20世紀初頭に掛けてアメリカで流行した音楽の名称で、酒場で黒人が演奏したピアノ音楽が起源と言われている音楽です。
マーチなどの西洋音楽に黒人独特のノリが加わった軽音楽で、ジャズの前身ともいえるようなサウンドです。
当時のニューオーリンズの葬儀音楽でさえ、初期のジャズミュージシャンに影響を与えたといわれるほど、ニューオリンズでは音楽が盛んだったのです。
ニューオーリンズで勃興したジャズサウンドは、後にディキシーランド・ジャズとして知られるようになりました。
1920年代~30年代:
初期のジャズが隆盛した土地としては、シカゴとカンザスシティが有名でした。
そして、ジャズをアメリカ文化の音楽として確立したのはニューヨーク市でした。
当時は、デューク・エリントンやフレッチャー・ヘンダーソンらが率いるビッグバンド(ジャズ形式のバンドス)は、ナイトクラブの客のために演奏することがほとんどでした。
特にエリントンは、クラシック音楽を基にしたオリジナルの作曲で有名でした。
1940年代~50年代:
1940年代には、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、アート・ブレイキーといったニューヨークのミュージシャン達が、ビバップと呼ばれるジャズの進化系ともいえるサブジャンルを開発しました。
このスタイルには、電光石火のような速弾き、コードの変化に伴うソロ、即興演奏が卓越した演奏技術によって作り出されました。
1940年代以降、ジャズは局地的な人気を博していた音楽でした。
また、スウィングは、強いリズム、力強いメロディー、メロディックな即興演奏ですぐに人気となり当時のポピュラー音楽でした。
1960年代
1960年に入ると、それまでの速さや即興技術とは対照的に、テンポを遅くして洗練されたハーモニーが追加されたポストビバップが流行。
セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス、マイルス・デイヴィスなどのミュージシャンはビバップに慣れ親しんでいましたが、ポストバップの作曲で知られるようになります。
マイルス・デイヴィスはクールジャズと呼ばれるジャンルでも有名で、より遅いテンポ、より最小限のテクスチャ、コード進行よりもモード (旋法)を用いた演奏を強調していました。
また、名サックス奏者のジョン・コルトレーンとソニー・ロリンズは、ビバップ、クール・ジャズの即興演奏にも熟練していた時代でした。
一方、ハービー・ハンコックやジョー・ザヴィヌルなどのミュージシャンは、ジャズをファンクやロックと融合させ、フュージョンとして知られる新しいジャンルを生み出しました。
パット・メセニーやビル・フリゼールは、フォーク ミュージックにインスピレーションを受けて自身のパフォーマンスに取り入れたりもしていました。
ジャズの特徴とは?
ジャズは、ブルースからロック、クラシックまで、ほぼすべてのジャンルの音楽と重なっています。
これにより、幅広いジャズのサブジャンルが構成され、スウィング、ビッグ バンド、ビバップ、クールジャズなどが生まれました。
ジャズの特徴として挙げられるのは次のようなポイントです。
複雑なハーモニー
ジャズのハーモニーは、多くの場合、他のスタイルの音楽よりも複雑で、拡張和音と不協和音が使用されています。
ジャズミュージシャンは、他の調性から「借りた」コードを使用して、ハーモニーの豊かさと多様性を追加することもあります。
スウィング
ジャズは、シンコペーションやオフビートのアクセントを使用することで、スウィングしたリズミカルな感覚で知られています。
このスウィング感は重要な部分であり、スウィング感があるからジャズらしさを感じることができるのです。
コール アンド レスポンス
ジャズでは、多くの場合、ソリストがフレーズを演奏し、残りのバンドが補完的なフレーズで応答するコールアンドレスポンス構造が特徴です。
このコールアンドレスポンスが音楽の中で相互作用の感覚を生み出すのに役立ちます。
オフビート
ジャズは、常に変化するリズムを特徴としています。 ジャズは、通常、4拍子や2拍子を基本としていますが、そのリズムは柔軟で、演奏者たちが自由に取り入れることができます。
オフビートとは、拍子の外にある音を強調するリズムのことを指します。
例えば、4拍子の中で1拍目と3拍目を強調するリズムを、「ハーフタイム」と呼びます。これは、オフビートの一種です。
オフビートは、ジャズではよく使われるリズムであり、演奏者たちが独創的で新しいリズムを創造することができるとされています。
即興演奏
ジャズの決定的な特徴の1つは、即興の使用、つまりその瞬間に自発的に音楽を作成する行為です。
ジャズの即興演奏とは、曲のコード変更のサイクルを連続的に繰り返すことで、新鮮なメロディーを自然発生的に作成するプロセスであり、ソロやメロディーを即興で演奏することで音楽に独自の創造性を加えます。
まとめ
ジャズは歴史が古く、その音楽スタイルも幅広いので定義するのが難しい音楽です。
さらにはスウィング、ビッグ バンド、ビバップ、クールジャズなどサブジャンルも多く、時代によって奏でられてきた音も違います。
そのため一言で括るのが難しく深い音楽です。ジャズが気になった方は、先ずは論より証拠の精神で曲を聴いてみることをおすすめします。