1990年代といえばバブル経済は終焉を迎え、経済は停滞していく「失われた10年」とされています。しかし、音楽業界においてはJPOPの黄金期とされ、ミリオンヒットが連発された世代です。
今回はそんなJPOP黄金期の90年代のヒット曲を1年ごとにランキング形式で振り返ってみたいと思います。
1990年
バブル経済が崩壊したあとの1990年代の始まりは当時の子供にはまだまだ実感しづらく、どこかのんびりしたものでした。
そんな90年代の幕開けである1990年はテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」の放映が開始されたり、センター試験の第一回が実施されるなど現在も残っているコンテンツや仕組みが出来上がった年でもありました。
1位:おどるポンポコリン/B.B.クィーンズ(190万枚)
フジテレビ系テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」の主題歌。当時は「ちびまる子ちゃん」の人気も社会現象化していたこともあり、この曲も大ヒットしました。
シュールでナンセンスな歌詞にB.B.クィーンズなんて聞いたこともないグループが何でここまで売れるのか?と思ったら、メインボーカルには坪倉唯子さん、作曲には織田哲郎さん、プロデュースにはビーイング系の創始者長戸大幸さんと実力派ぞろいの布陣で制作されており納得の出来栄えです。
2011年5月には期間限定で再結成もされ、いまでも「ちびまる子ちゃん」共々、子供から大人にまで愛されている楽曲です。
2位:浪漫飛行/米米CLUB(170万枚)
JAL沖縄旅行「JAL STORY 夏離宮キャンペーン」のCMで起用されたことをきっかけに大ヒット!累計売上枚数170万枚を突破、米米CLUB自体はそれまでも人気のグループでしたが、90年代にヒット曲を連発することでより一層人気のグループになっていきました。
歌詞も旅をイメージさせる内容になっていて、気が付けば国民的大ヒットとなりました。
3位:今すぐKiss Me/LINDBERG (61万枚)
ボーイッシュなボーカルの渡瀬マキさんが印象的なLINDBERG2枚目のシングル曲。
通算売上枚数は61万枚と、90年代のCDランキングでは少し少ない印象も受けますが、ドラマ「世界で一番君が好き!」の主題歌にもなり、キャッチーなメロディとポップなサビで当時は大人気でした。
4位:さよなら人類/たま(60万枚)
80年代後期に盛り上がっていたインディーズバンドブームは、89年から90年に放送されていたTBSの音楽番組「三宅裕司のいかすバンド天国」のコーナーで本格的なバンドブームになり、そのイカ天で5週勝ち抜いて3代目グランドイカ天キングになった「たま」も瞬間的に大ブームになりました。
当時としても珍しく奇妙な風体の4人組バンド「たま」は音楽もシュールで独特。当時はまだバブルの残り香が残っているような時代で、大分世相にも反していましたが若者にはウケたのです。
5位:OH YEAH!/プリンセス・プリンセス(57.5万枚)
こちらもバンドブームで人気に拍車が掛かったプリプリことプリンセス・プリンセス。
「OH YEAH!」はプリプリ9枚目のシングルで、同年開催の全県ツアー「PANIC TOUR’90 パレードしようよ!!」の応援歌として制作された楽曲です。
1991年
90年代は「失われた10年」と日本経済の停滞期として位置づけられていますが90年代初頭はまだまだ社会の雰囲気としては陽気なムードが漂っていました。
そんな1991年は東京芝浦にはボディコン衣装に扇子を振って踊りまくる「ジュリアナ東京」が誕生し、
相撲界では横綱だった千代の富士の引退と若花田、貴花田の兄弟力士による若貴フィーバーが巻き起こり社会現象化。
テレビドラマ「101回目のプロポーズ」も高視聴率で大ヒットとなりました。
世界を見渡せば不安定な国家もチラホラあり、湾岸戦争が勃発しソ連も崩壊してしまうなど国内の陽気さと世界の不安定さのギャップが印象的な年となりました。
1位:ラブ・ストーリーは突然に/小田和正(258.7万枚)
世の中の人の大半にとっては小田和正さんといえばこの「ラブ・ストーリーは突然に」ではないでしょうか。
ドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌として大ヒット。
当時のドラマといえば月曜9時が御馴染みで、月9やトレンディードラマの名称もこのドラマからではないでしょうか。ドラマの盛り上がるシーンで効果的に曲が使われていたのも印象的でしたね。ドラマの主題歌がヒットするきっかけになった一曲でもあります。
2位:SAY YES/CHAGE&ASKA(282.2万枚)
こちらもフジテレビのトレンディードラマ「101回目のプロポーズ」の主題歌。90年代といえばチャゲアスが発表する曲がどれもヒットしていた記憶があります。
この曲は、CHAGE&ASKAがデビュー12年目にして初めてオリコン1位を獲得したファンにとっても感慨深い一曲なんです。オリコン13週連続1位という記録も時代を象徴しています。
3位:愛は勝つ/KAN(200万枚以上)
90年代は恋愛ソングや応援ソングが多くリリースされました。そんな中でも有名なのがKANさんによる「愛は勝つ」ではないでしょうか。
ヒットまでの道のりは、最初は大阪のFM曲でヘビーローテーションされることで人気に火が点き、フジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の挿入歌に起用されたことで爆発的な人気となりました。シンプルで力強いメッセージに勇気づけられた人も多いのではないでしょうか。
4位:どんなときも。/槇原敬之(166.9万枚)
槇原敬之さんの人気が決定的になったのもこの年ではないでしょうか。
こちらはドラマではなく、織田裕二さん主演の映画「就職戦線異状なし」の主題歌で大ヒットしました。
翌92年には高校野球の入場行進曲にも使われているので、ヒット具合が分かりますね。自分が自分らしくあるためにブレないという前向きなメッセージと槇原さんの温かみのある歌声が印象的です。
5位:はじまりはいつも雨/ASKA(116万枚)
CHAGE&ASKAではなくASKAさんのソロ曲としては最大のヒットとなった一曲です。オリコンでは1位を獲っていないものの、長い間チャートインを続けロングセラーとなりました。
元々は発売する予定のなかったCMタイアップ曲でしたが、CMが流れるや多数の問い合わせがあり急遽発売が決まったとか。それで累計売上枚数116万枚を超えるのだから、当時のCHAGE&ASKAがどれだけモンスター級のアーティストだったかが分かるというもの。
1992年
1992年に入ると徐々にバブル景気の崩壊を実感していくこととなります。不況が深刻になっていき、平均株価が1万5000円を割ることに。
スペイン・バルセロナではバルセロナオリンピックが開催され、当時14歳だった岩崎恭子さんが水泳女子200m平泳ぎで金メダルを獲得したり、宇宙飛行士の毛利衛さんがスペースシャトル「エンデバー」で宇宙へ行くなど世界的な活躍を日本人が見せた年でもありました。
そんな1992年のシングルランキングがこちらです。
1位:君がいるだけで/米米CLUB (289万枚)
米米CLUBの最大のヒット曲であり、ダブルミリオンセラーとなった一曲。
「たとえば君がいるだけで心が強くなれること 何より大切なものを気付かせてくれたね」というフレーズが、聞いた人の数だけ愛する恋人や家族を思い出させるので曲に対する没入感がありますね。
2位:悲しみは雪のように/浜田省吾(170万枚以上)
人気のシンガーソングライター浜省も90年代はドラマとタイアップすることでミリオンヒットを実現。
こちらはドラマ「愛という名のもとに」の主題歌として有名ですが、実は1981年に発表されたオリジナルバージョンのリメイク版なんです。
3位:BLOWIN’/B’z(176万枚以上)
現在も第一線で活躍し続けるモンスターロックデュオ・B’zが92年に大ヒットさせたナンバー。
B’zにとって10枚目のシングルとなったこの曲は、B’zの特徴でもあるエッジの効いたギターサウンドとポップスが程よくブレンドされた好楽曲。
4位:それが大事/大事MANブラザーズバンド(160万枚以上)
90年代を代表する応援ソングが大事MANブラザーズバンドの代表曲「それが大事」です。
「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事 駄目になりそうな時 それが一番大事 」と繰り返される歌詞は、意識してなくても頭の中に入ってきてしまうほどでした。
シンプルだからこそ力強さも感じさせてくれる一曲です。
5位:涙のキッス/サザンオールスターズ(154万枚以上)
「涙のキッス」は、TBS系金曜ドラマ「ずっとあなたが好きだった」主題歌に起用され、更に携帯電話のキャンペーンソングとしても起用。
当時すでにトップグループとして存在していたサザンでしたが、これが初のドラマとのタイアップ曲になります。
シングル「シュラバ★ラ★バンバ」と同日発売したことでオリコンでは1位、2位を独占しました。振り返ってみると戦略的なリリースの仕方ですね。
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1993年ヒット曲
1993年の大きなトピックスといえばなんといってもJリーグの誕生でしょう。
1993年5月15日に開催されたヴェルディ川崎対横浜マリノスのJリーグ初戦には約6万人の観衆が国立競技場に集結し、その一戦に注目しました。
この年のMVPはヴェルディ川崎所属だった三浦知良選手だったのですが、まさか20年近く経った現在でもJリーグのプロサッカー選手として活躍してるとはこの時は誰も予想していなかったでしょう。
野球だけではなくプロサッカーも日本に根付いていく歴史的な年となった1993年、当時流行っていたのはこんな曲です!
1位:YAH YAH YAH/CHAGE&ASKA(241.8万枚)
93年に入ってもチャゲアスは強い!ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌となったこの曲は「SAY YES」に続いてミリオンセラーからのダブルミリオンセラーを達成しました。
オリコンランキングではウィークリー、マンスリーでも1位を獲得し、第8回日本ゴールドディスク大賞受賞するなど文句なしに93年を代表する一曲です。
現在はCHAGE&ASKAとしての活動は休止になってしまい、生で聴ける機会がないのがとても残念です。
2位:愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない/B’z(202万枚以上)
1993年3月に発売されたこの曲はB’z最大のヒットとなった楽曲で、売上枚数200万枚を超えたのもこのシングルだけです。
本木雅弘と宮沢りえが出演した日本テレビ開局40周年ドラマ「西遊記」の主題歌に起用されたことでも有名ですね。
3位:ロード/THE 虎舞竜(220万枚以上)
令和の今ではヒット曲はTikTokからといったパターンが多いかもしれませんが、90年代のヒット曲はテレビやCMとのタイアップか有線放送でジワジワと人気が出るといったパターンが主流でした。
THE 虎舞竜の「ロード」は発売後から有線で人気が出たパターンの楽曲で、その後も第二章、第三章と続き最終的には第十五章まであります。
1996年にはこの楽曲をテーマにした映画も公開された経緯もあり、90年代はTHE 虎舞竜が大活躍した年代でもありました。
4位:エロティカ・セブン/サザンオールスターズ(188万枚以上)
この時期まではサザンもシングルはCDだけではなくカセットテープをもリリースしていました。
「エロティカ・セブン」はフジテレビ系ドラマ「悪魔のKISS」の主題歌にも起用され、累計188万枚を突破する等、サザンオールスターズここにありを見せつけたシングルですね。
5位:裸足の女神/B’z(173万枚以上)
またもやB’zのランクインと93年におけるB’zの快進撃具合が伝わります。
こちらも軽くミリオンヒットを超えて累計173万枚以上を売上げました。2位の「愛のままにわがままに 僕は君を気づけない」がエッジを効かせたハードなギターサウンドなのに対し、「裸足の女神」は爽やかさを感じるギターポップといった曲調です。
1994年ヒット曲ランキング
1994年は、作家の大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞、日本人では初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんがスペースシャトルで宇宙に向かうといった出来事がありました。
スポーツではボクシングの薬師寺選手と辰吉丈一郎選手の統一王座決定戦が日本中を盛り上げました。一方、オウム真理教による松本サリン事件も起きた年で社会の不安定さも目立っていく一年でした。
1位:innocent world/Mr.Children(193万枚)
90年代を代表するグループの一つMr.Childrenの代表曲でもある「innocent world」はあっという間に100万枚を超え、累計枚数193万枚を記録しました。
このあともミスチルのシングルは多数ランクインしますが、この曲はミスチル史上3番目に売れた曲でもあります。
アクエリアスCMで起用されたことも大ヒットの要因ですが、それ以上にMr.Childrenの奏でるキャッチーなバンドサウンドと内省的な歌詞が90年代を生きる人々にマッチした様にも思えます。
2位:ロマンスの神様/広瀬香美(174.8万枚)
発表は1993年ですが、本格的にヒットしたのは94年。
スキー用品店「アルペン」のCM曲として起用されCMの内容と上手くリンクした「ロマンスの神様」も大ヒット。明るさが際立つポップスと女性の本音が上手く織り込まれた歌詞が印象的な広瀬香美さんの代表曲ですね。
3位:恋しさと せつなさと 心強さと/篠原涼子 with t.komuro(202万枚)
アイドルグループ「東京パフォーマンスドール」に所属、「ダウンタウンのごっつええ感じ」などバラエティ番組にも出演していた篠原涼子さんを当時大人気だったTKこと小室哲哉さんがプロデュースしてリリースされた楽曲。
発売当初はそこまでヒットしていませんでしたが、アニメ映画「ストリートファイターII MOVIE」の挿入歌としても使われロングセラーとなりました。
最終的には売上枚数200万枚を超え、女性歌手初のダブルミリオンを達成したシングル楽曲です。元々有名ではありましたが、この曲で篠原涼子さんを知った人も多いのではないでしょうか。
4位:Don’t Leave Me/B’z(144万枚)
90年代のB’zはメディアへの露出はそこまで多くはなくライブに重点を置いているグループでした。それでも人気は右肩上がりで前作「裸足の女神」からの今作も初週で70万枚以上を売り上げミリオンヒットへ。
前作の「裸足の女神」、前々作の「愛のままにわがままに 僕は君を気づけない」はポップさもあるB’zらしいロックチューンでしたが、今作はブルージーでスローテンポな曲調で、今までシングルカットしてきた曲と比べても大分暗くて重い印象があります。
これはメンバー自身がヒット曲の方程式に飽きてきたので、あえての選択だったと言われています。それでもB’z史上6番目の売上になってしまうのは流石と言わざるを得ません。
5位:空と君のあいだに/中島みゆき(146万枚以上)
「空と君のあいだに」は、1994年5月に発売された中島みゆきの31作目のシングルです。
安達祐実主演のドラマ「家なき子」の主題歌で、ドラマ自体が高視聴率で大ブームとなったため主題歌もオリコンのシングルチャートで初登場1位を獲得しました。
中島みゆきさんのリリースしたシングルでは2度目のミリオンセラーとなった曲でもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。前編では1990年から1994年までのヒット曲についてランキングで紹介してきました。
後編でも有名曲がずらりと並んでいるので合わせてご覧ください。