90年代はスニーカーにとても最高の時代でした。
エア ジョーダンからリーボック、ナイキ エア マックス 95、ハーフキャブなどなど、20世紀最後の10年間にとんでもない数の素晴らしいスニーカーが棚に並んでいたのです。
今でも古くささを感じさせない近未来的なデザインの90年代スニーカーは、現在でも人気です。
ファッションでは90年代リバイバルブームもきているので、あの頃のスニーカーをコーディネートに取り入れれば独特な個性を発揮することでしょう。
今回は90年代を代表するスニーカーを紹介します。あなたのお気に入りが取り上げられているか、是非読んで確かめてみてください。
改めて振り返る、90年代のファッションシーン
90年代はファッションの多様化が一気に進んだ時代。それまではマスメディアが流行を作ってきていましたが、90年代に入ると消費者側からの情報発信が顕著になり、ブームへと繋がる流れが出来上がったのです。
それはバブル経済の盛り上がりから崩壊へと進んでいく流れと符合しており、豪奢なファッションが好まれた80年代のカウンターでもあるように、デニムと白Tシャツが人気になるなど90年代のファッションはローコストでもありました。
渋谷発のストリートファッションが若者の間でブームになっていく、90年代はそんな時代だったのです。
懐かしの名作たち。90年代スニーカーをピックアップ
90年代のスニーカー文化が華々しすぎたので、2000年代は冬の時代とも言われています。
特に95年のハイテクスニーカーのブームは、世界中のファッショニスタを虜にしたものです。90年代に人気だったスニーカーを振り返ってみましょう。
Nike/Air Max 95(ナイキ/エアマックス95)
(出典:NIKE公式)
90年代を代表する一足といえばナイキのエアマックス95で決まりでしょう。
ナイキのデザイナーであるセルジオ・ロザーノはこのスニーカーを作る時に、パフォーマンスとスタイルの融合を目標としていました。
その名の通り1995年に発売されたこのスニーカーはスタイリッシュなデザインで、それまで特にスニーカーに興味がない一般層をも巻き込んで人気でした。
ストリートファッションをより盛り上げた功績を持ちますが、ブームは過熱しすぎて高価格で転売されたり、エアマックスを持ち主から奪う「エアマックス狩り」なども発生しました。
前足部に2種類のエアクッションを初採用、他の多くのナイキスニーカーよりもはるかに小さなスウッシュ(ナイキのロゴマーク)を持つなどユニークなデザインが特徴的なモデルです。
90年代スニーカーの象徴でもあるエアマックスは、ヒップホップやラッパーとの親和性も高く、アメリカのラッパーThe Gameの「Hate it or Love It」やGucci Maneの「Bricks」など曲の中で言及されています。
現在に至るまで何回も復刻モデルが販売されるなど、人気の高い商品です。
Vans/Half Cab(バンズ/ハーフキャブ)
(出典:アーリーウープ)
1992年に発売されたバンズのハーフキャブは、スエードのアッパーにラウンドトゥのテクニカルなミッドトップスケートシューズスタイルを採用したクラシックなシルエットで、特にスケーターの間で人気でした。
ミッドトップデザインとワッフルグリップ、長距離走行にも耐える堅牢なソール、ハーフキャブは究極のストリートスケーターシューズと言えるでしょう。
VANSの「キャバレロ」をミッドトップにした、スニーカー史に残る話題のスケートシューズです。
他のハイテクスニーカーと比べると手頃な価格だったことも人気の理由の一つかもしれません。
Reebok/Instapump Fury(リーボック/インスタポンプフューリー)
(出典:リーボック公式)
リーボックは90年代にスニーカー史上最大のギミックを発明しました。それは、歩くたびに膨らむ自動ポンプ機能をベロに搭載した画期的なスニーカー、「インスタポンプフューリー」の発表です。
シューレースではなく空気を送り込んで履き心地を調整するポンプは、リーボックの歴史の中で最も人気のあるデザインの1つとなりました。
1990年代前半には様々なリーボックポンプが発売され、テニス界のスター、マイケル・チャンも愛用していました。ディー・ブラウンやデニス・ロッドマンといったNBAのレジェンドたちも、この有名なリーボックパンプスを履いてコートに立っていたのです。
スニーカーブランドの常識を覆した「インスタポンプフューリー」も、90年代的な象徴するアイコン的な一足です。
こちらも現在のストリートシーンで人気が高いスニーカーです。90年代に初めて見た時も奇抜なデザインに驚きましたが、今見ても奇抜さが群を抜いててインパクトがあります。
Converse/One Star(コンバース/ワンスター)
(出典:Converse公式)
1993年に発売されたコンバースのワンスターは、ヘビーデューティなスニーカーの代表格。元々はベースボールシューズとして有名でしたが、90年代はカジュアルシューズとして有名になりました。
特別なスニーカーファンでなくてもこのスニーカーを持っている人も多かったのではないでしょうか。。ヴィンテージ系のファンなら、コレクションの中に絶対一足はあるはずです。
ワンスターの一番の魅力は、誰でも履けること。だいたいのボトムと組み合わせることができてコーディネートがそれなりに上手く出来上がるのです。
元々は1974年を最後に店頭から姿を消した商品でしたが、90年代に入って復刻したことで人気も再燃しました。
90年代はスケートボード文化が盛んで、カート・コバーンなどの90年代を代表するセレブリティがよく履いていたことも人気に火を点けました。
ワンスターの存在だけでも、90年代はヴィンテージなファッションが好きなファンにとってはたまらない時代といえます。今やコンバースは、1990年代と同様に今も必要不可欠な存在です。
adidas/SUPERSTAR(アディダス/スーパースター)
(出典:アディダス公式)
アディダスを一躍有名にしたのは、ヒップホップグループのRun-DMCが履いていたから。
彼らは足元にこのスニーカーをフィーチャーしたことで、アディダス スーパースターをストリートファッションの象徴的なスニーカーに押し上げました。
Run-DMCがアディダスをフィーチャーしたのは80年代中期の話でしたが、それ以後も様々なアーティストやミュージシャンに愛用され、ビースティ・ボーイズは1992年のアルバムのジャケットでアディダスを着用しています。
現在では、リアーナやジェイ・Zなどのセレブリティが履いているのを見ることが出来ることからも、スーパースターは常に売れ続けている商品なのです。
このスニーカーは、レトロでシンプルなデザインとラウンドトゥ、トリプルストライプ(3本線)、ロートップが特徴的で、耐久性と履き心地の良さにも優れています。
ひと目でスーパースターとわかる、貝殻の様にラインが放射線状に伸びるつま先のデザインは、90年代にはスケートボーダーにも支持されていました。
素材はレザーで質感が大人っぽさを演出していることもあり、履きまわししやすいモデルです。
アディダスといえばスタンスミスか、このスーパースターが定番でしたね。
New Balance/530s(ニューバランス/530s)
(出典:Snekers123)
1992年にランニングシューズとして発売されたニューバランスの530sは、シンプルでミニマル、そしてクラシックなルックスと優れたクッション性でランナーの間で人気を博しました。
レトロなデザインはそのクオリティと同様に現在でも忠実に残されています。このクラシックなランニングシューズはライフスタイルに溶け込み、何十年も続く耐久性を提供してくれています。
Nike/Air Flight Huarache(ナイキ/エアハラチ)
(出典:NIKE公式)
ナイキがエアハラチで実現したかったのは、快適で滑らかで機能的な履き心地の良さでした。
ハラチとは元々メキシコの伝統的なサンダルを意味し、ナイキのエアハラチはそこから着想を得ているランニングシューズです。
軽量化を図るために余分なパーツをそぎ落とすという柔軟な発想がデザインに落とし込まれています。
快適性を追及したこのスニーカーは、シンプルなデザインながら軽量で伸縮性に富んでおり機能美を実装しています。
ナイキは常にスタイリッシュなスニーカーを発表してきましたが、軽量で通気性が良いエアハラチの発明はナイキの歴史の流れを変えるきっかけとなりました。
90年代に関する記事について
adidas/EQT(アディダス/EQT)
(出典:アディダス公式)
1991年にデビューしたadidas OriginalsのEQTは、それまでのadidasのコレクションに新たなエネルギーをもたらしたモデルです。
驚くべき軽さとクッション性を兼ね備え、アスリートはもとより多くのランナーに愛されました。
クラシックなメッシュと、使用するほどに風合いの増すプレミアムシンセティックヌバックを採用し、ヒールにはコントラストの効いた刺繍をあしらいオーセンティックな雰囲気を醸し出しています。
NIKE/Air Jordan V(ナイキ/エアジョーダン5 )
(出典:NIKE公式)
1984年にNBAデビューをしたマイケル・ジョーダンは、1990年には史上最高のバスケットボール選手の一人として認められるようになりました。
ジョーダンモデルのスニーカーはバスケットボール選手、スポーツファン、ファッショニスタの必需品とみなされるようになり、バスケットボールとスニーカー文化のクロスオーバーは90年代に頂点を迎えました。
エア ジョーダン5は90年代初のジョーダンモデルで、デザインを手がけたのはナイキのデザイナーティンカー・ハットフィールド。ジョーダンのハードで鋭いプレイスタイルとアメリカの戦闘機ムスタングから受けたインスピレーションをデザインに落とし込みました。
かさばるレザーアッパー、メッシュサイドウォールインサート、シャークトゥースミッドソール、ハイカットとミッドカットの中間的なデザインが特徴です。
ブラック×シルバーのカラーリングと、暗闇で光るリフレクターがクラブ通いをする現地のアフリカ系アメリカ人に大受けだったとか。
確かに今見てもオシャレなデザインです。
New Balance/M1500(ニューバランス/M1500)
(出典:ニューバランス公式)
1989年に発売された「New Balance M1500」は、 “完璧なランニングシューズに最も近い “とスニーカーファンに愛され続けているキッカーです。
スエード、レザー、メッシュのアッパーで作られたシンプルなシルエットが特徴で、このクラシックなランニングスタイルは、レトロな外観と快適なフィット感を与えてくれます。
ミッドソールはクッション性に優れ、一日中快適な履き心地を提供し、カラーバリエーションも豊富で、自分のスタイルに合った一足を見つけることができます。
ニューバランスの人気レトロモデルの多くはボストンでしか作られていませんが、M1500はイギリスの工場のみで作られていました。
FILA/Disruptor2(フィラ/ディスラプター)
(出典:フィラ公式)
フィラは、ファッショナブルなスニーカーブランドとスポーツウェアが見事に融合されたブランドです。
90年代に発売されて人気を博したディスラプター2は、フィラブランドの歴史の中でも異彩を放つモデルです。
アスリート向けではないファッションスニーカーとして初めて発売されたディスラプターは、他のフィラのアイコニックなシューズが注目を集める中、道半ばで姿を消しました。
にもかかわらずシンプルなコーデを好むノームコアの台頭によりフィラのブランド人気が再燃、2018年にディスラプター2の人気も復活して今日に至ります。
Asics / Gel Lyte III(アシックス/ゲルライト3)
(出典:asics公式)
1991年に初めて発売されたアシックスのゲルライト3は、軽量のパフォーマンスランニングシューズとして市場に登場しました。
通気性と柔軟性を兼ね備えたゲルクッショニングは、最高の快適さを提供します。
このシリーズにはジャストフィットなレースシステムが追加され、更に優れた衝撃吸収性を実現しています 。現在は、カラーバリエーションが豊富になりアップグレード版が販売されています。
90年代のスニーカー市場はナイキが支配的でしたが、競合する他メーカーも負けずにアイコニックなスニーカーを販売していました。アシックスのゲルライト3もそんなスニーカーモデルの一つです。
Nike / AirMax 97(ナイキ/エアマックス97)
(出典:NIKE公式)
90年代にナイキを人気ブランドにしたシューズといえば、ナイキエアマックスに違いないでしょう。このシューズは、エアマックス95の改良版として発売されました。
現在でもナイキのスニーカーの中では最も人気のあるシルエットの1つで、かかとからつま先まで続く波のようなデザインラインはスピード感があり、発売当時からランナーに愛されました。
エアマックス97の最も特徴的な機能は、ほぼ全長にわたって走るソールのエアポケットでした。
現在、さまざまなカラーバリエーションが発売されていますが、オリジナルのメタリックシルバーが最も美しく見えるでしょう。
ナイキエアフォース1など、後発モデルは様々なバージョンが他のデザインと融合してきましたが、クラシックなナイキエアマックス97は時代を超えて人気であり続けています。
まとめ
今回紹介したスニーカーを見るだけでも、90年代のファッションがいかにストリート寄りでスタイリッシュなものであったかが分かりますね。
特に90年代は海外の映画や音楽からの影響が強かったこともあり、今回紹介したスニーカーは当時の若者の間で人気でした。
90年代に登場したハイテクスニーカーは当時から人気があり、それは現在も変わっていません。
現在は90年代ファッションのリバイバルブームもあり、これらのブランドスニーカーを履けば、洗練されてモダンな印象を与えてくれることでしょう。
靴は時代と共にデザインや存在価値も変わっていきます。年代毎に区切ってスニーカーファッションを振り返るのも面白いかもしれませんね。