90年代の洋画は、映画史に不可欠なクラシックとされる映画がたくさん公開された時代でした。
SF、ヒューマンドラマ、サスペンスなど様々なジャンルで名作が生まれ、クエンティン・タランティーノ、デビッド・フィンチャー、コーエン兄弟などの有名監督が台頭した時代でもありました。
70年代は創造性に富んだ映画が作られた時代、80年代は映画がメジャーなコンテンツとして商業的に確立された時代、そして90年代は70年代、80年代の要素が組み合わさった時代といえるでしょう。
多額の予算が投入された大ヒット作と風変わりでインディーなカルトムービー、その両極端な映画が共存していたのも90年代の洋画の特徴ではないでしょうか。
今回は、そんな90年代を代表する洋画をご紹介します。
ホームアローン(1990年)
1990年に公開されたクリスマスコメディの名作!
クリスマス休暇で家族旅行に行くはずが、誤って家に1人で取り残されてしまったマコーレー・カルキンさん演じるケビンが、2人組の強盗から家を護って退治するドタバタコメディ。
日用品を使って様々なトラップを仕掛ける面白さやテンポの良さが今見ても笑えます。
興行収入は全世界で4億7668万ドル(当時のレートで約687億円)、日本国内の興行収入も約34億円を記録するなど大ヒットしました。
日本の子役といえば安達祐実さんが有名ですが、それに先駆けてマコーレー・カルキンさんもブームになり一世を風靡しました。
映画公開時は10歳だったカルキンさんも宣伝のために来日して「笑っていいとも」に出演していましたね。
タイタニック(1997年)
処女航海で大西洋横断に失敗した蒸気船タイタニック号の悲劇と、ローズとジャックの悲劇の恋を描いた大作「タイタニック」は世界的に大ヒット。
単なる映画のヒット作としてだけではなく、世界的な「タイタニック」現象を巻き起こし、日本でも一大ブームになりました。
興行収入は世界で22億ドルを突破し、現在でも3番目に高い興行収入として記録に残っています。
日本での興行収入も262億円を突破しており、「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」「千と千尋の神隠し」に続いて日本でも3番目に高い興行収入となっています(日本公開の洋画では1位)
1997年に公開された「タイタニック」は、翌年1998年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞など累計で11の賞を受賞。セリーヌディオンの歌う主題歌も世界的に大ヒットしました。
映画の製作費に2億ドル費やしたのも当時ではかなり破格で、大きな話題を呼びました。
ショーシャンクの空に(1994年)
この映画をフェイバリットムービーとして挙げる人も多いでしょう。「ショーシャンクの空に」はスティーブン・キング原作、 フランク・ダラボン監督による1994年のヒット作。
冤罪で刑務所に投獄された元銀行員が、希望を捨てずに懸命に生きるヒューマンドラマとして有名です。
しかし、映画が公開された当時の興行収入は1600万ドルと低調で、大ヒットと呼べるものではありませんでした。
それが映画評論家や映画を見た人の口コミにより集客に繋がったのです。当時はまだSNSがなかった時代なので口コミの拡散力も低かったんですね。
映画では興行収入は奮いませんでしたが、この映画は後に1995年に一番貸し出されたレンタルビデオとして後に多くの人の支持を集めていきます。
現在でも映画のランキングには必ずノミネートされるなど、沢山の映画ファンが人生の1本として挙げています。
パルプ·フィクション(1994年)
流血、ガンアクション、ギャングに麻薬といったクエンティン・タランティーノ節満載のラック コメディの傑作。
バイオレンス描写や独特の映像表現、さらに日本の映画やアニメからのオマージュを詰め込んだ映画マニアなタランティーノの最高傑作ではないでしょうか。
時間軸の異なる3つのストーリーが交錯して、一つの映画を作り上げるといった構成と手法は当時の映画でも珍しく、映画評論家や視聴者からの評価も高いものでした。
ストーリーテリングとしても強力な作品であり、90年代を代表する映画の一つです。
羊たちの沈黙(1991年)
ホラージャンルの映画といえば「13日の金曜日」のようなスプラッター映画が今までの常識でしたが、1991年に公開された「羊たちの沈黙」はより洗練された恐怖感を映画を見た人たちに与えてくれました。
FBI訓練生のクラリスが、元精神科医の囚人ハンニバル・レクター博士の協力を得て猟奇殺人犯「バッファロービル」に辿り着くストーリーです。
プロファイリングといった心理学的な分析や知的な凶悪犯といった、それまでのホラー映画やサスペンス映画になかった要素も目新しさを感じましたね。
ハンニバル・レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの演技も象徴的で、第64回のアカデミー賞では主要5部門を受賞しました。
アカデミー賞の作品賞をホラー系の作品が受賞したのは後にも先にも「羊たちの沈黙」だけなのです(2022年現在)
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マトリックス(1999年)
ウォシャウスキー兄弟が監督&脚本、キアヌ・リーヴスが主演を務めたサイバーパンクムービー。
当時のアメリカ映画では珍しかったSFと宗教、神話、哲学的思考の組み合わせや、ワイヤーアクションやスロー映像を駆使した「バレットタイム」と呼ばれる映像手法が見事にハマり、映画は大ヒット。
ウォシャウスキー兄弟お得意の日本のアニメや漫画からの影響が詰め込まれた作品であり、マトリックス以降は沢山のフォロワーを生み出しました。
仮想空間と現実の世界を行き来して闘うというストーリーは、現在のメタバースやWeb3.0を予見していたようでもあり、今見てもとても興味深い映画です。
ターミネーター 2(1991年)
ジェームズ・キャメロン監督による「ターミネーター」の続編で、製作費は前作の15倍の9,400万ドルが投入された90年代SFアクション映画の金字塔作品です。
CGで作られた映像が作中で使われることが当時はまだ珍しく画期的な映画でした。
前作を上回るド派手なアクションシーンや、前作では敵だったアーノルド・シュワルツェネッガーが今作では味方になって闘うというカタルシスも大きかったはずです。
シュワルツェネッガーが演じるT-800が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは今見ても涙が出てきます。
ジュラシック・パーク(1993年)
90年代になると映画の映像表現にCGが使われることがスタンダードになっていきました。そんな中でも映画のCG表現において衝撃だったのが「ジュラシック・パーク」ではないでしょうか。
興行的にも大ヒットとなり、全世界での興行収入は9億1,200万ドル(累計では10億ドルを超える)を記録しています。
これは1993年の最高興行収入を記録しただけでなく、1997年に「タイタニック」が上映されるまでは、それまでの映画史での最高興行収入記録でした。
大きなヒットになったのも素晴らしいストーリーと、恐竜に対する人類の普遍的な好奇心がリアルに映像化されたことが大きかったでしょう。
シンドラーのリスト(1994年)
第二次世界大戦中のドイツ人によるユダヤ人ホロコースト(大量虐殺)から多くのポーランド系ユダヤ人の命を救ったオスカー・シンドラーの実話をもとにした映画です。
監督はアメリカ系ユダヤ人でもあるスティーブン・スピルバーグ監督が務めました。
アメリカでの公開は1993年で、日本での公開は1994年でした。戦争の悲惨さやホロコーストを取り扱った代名詞的存在の映画作品です。
第66回アカデミー賞では12部門にノミネートされ、7部門で受賞しました。これまではエンターテイメント作品に長けた映画監督というイメージのスピルバーグでしたが、この作品ではシリアスな作品でも高評価を受けました。
トイ・ストーリー(1996年)
ピクサー・アニメーション・スタジオ制作による世界初の長編アニメ映画です。全米での公開は1995年で大きな話題を呼び、満を持して1996年に日本でも公開されました。
ひょんなことから家の外に出てしまったカーボーイのおもちゃウッディとアクション人形バズが、何とかして持ち主のアンディの元に戻ろうと画策するおもちゃの友情ストーリー。
1999年には「トイ・ストーリー2」が公開され、現在までに累計4作品が劇場公開されている人気シリーズ。子供だけでなく大人も思わず見入ってしまう絶妙なリアリティがたまりません!
まとめ
90年代を代表する洋画のヒット映画を今回は紹介しました。1990年代は様々なジャンルでヒット映画が公開された年なので、こうやって振り返っても名作ぞろいですね。
今ならNetflixやAmazonPrimeで過去の映画も見やすくなっているので良い時代になりました。
今回、紹介していない映画でも面白い映画は沢山あるので、ぜひ90年代ヒット映画を振り返ってみて下さい。