1990年代は恋愛や女性の生き方をテーマにしたドラマが大ヒットしました。
背景には女性の社会進出が本格的になってきたこともありますが、毎週繰り広げられる美男美女による恋愛物語は若い視聴者の憧れの的でした。
出演している俳優が着ているハイブランドや、セットに使われているインテリアがドラマの放映後には売り切れになるなど、当時のドラマの影響力は非常に高いものでした。
特に主演していた女優は昭和時代のドラマよりもアクティブで社会性の高いヒロインを演じ、同性の視聴者から高い支持を得ました。
今回は1990年代のテレビドラマで活躍した女優にフォーカスして紹介します。
山口智子
(出典:山口智子公式サイト)
1990年代トレンディドラマを代表する女優といえば山口智子さんが代表格でしょう。綺麗さと可愛さを両立し、さばさばした自立した女性を演じることに長けています。
代表作には「ロングバケーション」(1996)、「王様のレストラン」(1995)「スウィート・ホーム」(1994)があり、美人でありながら愛嬌もあって視聴者が親しみやすかったのも人気の理由でしょう。
過去にドラマで共演した俳優の唐沢寿明さんと結婚したことや、その馴れ初めも大きな話題となりました。1996年のヒットドラマ「ロングバケーション」を機に一旦女優業からは距離を置きCM業にシフト。
その後2012年にドラマへの復帰をおこない、現在は単発でタレント業をしています。
浅野温子
1970年代に女優としてデビューした浅野温子さんは、80年代後半の「あぶない刑事」や「パパはニュースキャスター」といったバブル期のテレビドラマ出演で活躍。
フジテレビ系列のドラマ「抱きしめたい!」では浅野ゆう子さんとのW主演を指す「W浅野」といったワードも話題になりました。
「抱きしめたい!」は、1980年代後半から始まった恋愛やトレンドを描いたドラマがいわゆるトレンディドラマと呼ばれる発端となった作品で、同年代の同性からの支持を一気に得るきっかけとなります。
90年代の浅野さんは1991年の「101回目のプロポーズ」、1995年の「沙粧妙子-最後の事件-」でそれぞれ主演を務め、トレンディドラマ、コメディー、サスペンスと女優としても演技の幅を広げて活躍をしていきました。
トレードマークとなっていたストレートのロングヘアは、時代を象徴する髪型となり、男性からも女性からも支持を得ました。
鈴木保奈美
1986年に女優デビューした鈴木保奈美さんは、1991年の大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」でヒロイン・赤名リカ役を務め、一躍人気女優の仲間入りを果たします。
「東京ラブストーリー」での織田裕二さん演じるカンチとの切なくも甘いラブストーリーは社会現象にまで発展、視聴者の注目を大いに集め最終回の平均視聴率では32.3%を記録。
その後も主演を務めた1992年の「愛という名のもとに」、1994年の「この世の果て」、1995年の「恋人よ」といったドラマは大ヒット、名実ともに1990年代を代表する女優として活躍しました。
プライベートでは1994年にF1開設者の川井一仁さんと結婚し1997年に離婚、1998年にとんねるずの石橋貴明と再婚したことも話題に。
中山美穂
1980年代にデビューし初期はアイドルとしても活躍したミポリンこと中山美穂さん、1990年代に入ると年1本の連続ドラマ、映画、CM、アルバム発売、コンサートツアーと女優業と歌手を両立するハイブリッドな芸能活動をおこなっていきます。
1992年には中山美穂&WANDS名義でリリースした「世界中の誰よりきっと」の販売枚数が180万枚を突破してミリオンヒット、1995年には映画『Love Letter』(岩井俊二監督作品)に主演し、各映画賞を受賞するなどしっかりと成功を収めているのが素晴らしいですね。
石田ゆり子
(出典:WEBザテレビジョン)
1980年代に女優デビュー後は、実力派女優として様々なドラマや映画に出演。
1990年代は「101回目のプロポーズ」の岡村涼子役をはじめ「未来の思い出」(1991年)、「季節はずれの海岸物語 ’92冬」(1992年)、「…ひとりでいいの」(1992年)、「さよならをもう一度(1992年)といったドラマに出演し、1993年4月に連続ドラマ「彼女の嫌いな彼女」で初主演を務めました。
清純派の印象が強い役柄が多く、年を重ねても可愛らしい雰囲気を持ち続けている魅力的な女優さんです。
深津絵里
深津絵里さんの芸能界デビューは1980年代で、13歳で芸能界入りをしています。
10代はアイドル活動もしていましたが、1990年にはTBS「パラダイスにっぽん」で初主演を務めます。
深津さんの名前が一気に広まったのがフジテレビ系列で大ヒットした「踊る大捜査線」への出演でした。
このドラマでは恩田すみれ役でレギュラー出演、その後も1998年のドラマ「きらきらひかる」では女性監察医のヒロインを演じ、好評を博しました。
深津さんといえばなんといっても抜群の演技力が一番に挙げられます。主演作品では自身の魅力をふんだんに発揮、脇役では堅実に周囲の緩衝材となるような演技を披露。シリアスな作品からコミカルな作品まで重要な役割をしっかりと演じ切る姿がとても印象的な女優さんです。
浅野ゆう子
(出典:オーピュア公式)
浅野ゆう子さんは元々は1974年にアイドル歌手としてデビュー、しかしセクシーなビジュアルとスタイルの良さを強調したことであまり成功はしませんでした。
1988年のフジテレビドラマ「君の瞳をタイホする!」、同じくフジテレビ系列ドラマの「抱きしめたい!」に出演したことで人気が爆発。
特に「抱きしめたい!」では浅野温子さんとの共演「W浅野」が女性から大きな支持を集めました。
1990年初頭は「トレンディドラマの女王」の異名を取るまで躍進、黒髪のロングヘアーとボディコン姿も大いに流行りました。
小泉今日子
1982年にアイドルとしてデビュー、すぐにトップ芸能人の仲間入りを果たしドラマや映画で大活躍。
1980年代はアイドル・小泉今日子のイメージが強かった印象ですが、1989年のフジテレビ系列ドラマ「愛しあってるかい!」で抜擢されるとこれが大ヒット。
1991年には田村正和さんと共演した主演ドラマ「パパとなっちゃん」と、自身が歌う主題歌「あなたに会えてよかった」も販売枚数158万枚を超える大ヒットとなりました。
1990年代は歌手としても女優としてもマルチに活躍し、2000年以降は女優業がメインの活動にシフトしていきました。プライベートでは1995年に俳優の永瀬正敏さんと結婚するなど、常に話題が尽きないといった感じの小泉さんでした。
千堂あきほ
元々は歌手としてデビュー、その後にフジテレビのバラエティ番組「オールナイトフジ」の司会を務めて人気が急上昇。
歌手、タレント、ドラマ出演とマルチに活動していた千堂さん、1991年の「東京ラブストーリー」、同年の「愛さずにいられない」、1993年の「振り返れば奴がいる」など1990年代は数多くのドラマに出演し、大人の女性や硬派な役を演じました。
2000年に結婚した後は活動拠点を大阪や北海道に移したこともあり、90年代の印象がとても強い女優さんです。
鈴木京香
鈴木京香さんも1990年代に活躍した女優さんで、1989年の映画 「愛と平成の色男」でスクリーンデビューをした後には1991年にNHKの連続テレビ小説 「君の名は」でヒロインの真知子役を演じました。
朝ドラのヒロインを務めたことで鈴木さんの知名度は一気に全国区となり、1993年にはNHK大河ドラマ「炎立つ 」で準ヒロインに抜擢されます。
1995年のテレビドラマ「我慢できない!」ではコミカルな演技を見せるなど、演技の幅がとても広いのが特徴です。
同じく1995年のテレビドラマ 「王様のレストラン」にも出演し、ここから三谷幸喜さんの作品では常連女優となっていきます。
1990年代から常に演技の第一線に立ち続け、演技を追求しているようなプロフェッショナルな姿勢の女優さんです。
まとめ
1990年代初頭は、それまでのバブル景気の恩恵を受けてスタイリッシュでモダンなトレンディドラマが大いに流行しました。
中盤から後半にかけてもテレビドラマは人気が高く、より多様性が増していきました。
特に女性が憧れる恋愛や生き方を取り扱うドラマがヒットしたように記憶しています。当時の時代背景と照らし合わせて1990年代のドラマを見返してみると、懐かしいだけではなく新たな一面が見つかるかもしれませんね。