最近、1980年代や1990年代風のアニメや漫画っぽいレトロイラストをよく見かけます。アパレルに起用されてTシャツやスウェットにプリントされていたり、SNSでも目につきます。
また、シティポップやヴェイパーウェイブのアーティストのCDジャケット、アートワークや、YouTubeのサムネイルにも80年代~90年代風のイラストがよく使われています。
この80年代~90年代アニメや漫画をオマージュしたようなイラストは、若者を中心に人気を集めています。
過去をしらない10代~20代からするとポップな色彩や太目の線で描かれたイラストは懐かしさよりも新しさを感じてしまうのかもしれませんね。
この記事では、最近人気の90年代風で平成レトロなイラストレーターを紹介します。
山根 慶丈
[News]平成生まれのイラストレーター・山根慶丈が描く”マボロシの昭和”展https://t.co/l72KdY2Q1a#山根慶丈 pic.twitter.com/mSbPGYnwVY— CONTRAST (@CONTRAST_MAG) November 9, 2015
この方のイラストを見たことがある人は多いのではないでしょうか。
神戸のミュージシャン、トラックメイカーtofubeatsさんのアートワークでも有名な山根 慶丈さんです。
山根さんは1990年生まれのイラストレーターで、男性と思われていますが実は女性の方です。
バブル期のコミックの様な線画のキャラクターに、ファンシーな色使いがまさに平成レトロを体現しているイラストです。
背景のネオンサインや遊園地が切絵風なタッチで描かれているのは、80年代から活躍しているイラストレーター・わたせせいぞうさんのオマージュっぽくもあります。
キャラクターの着ているジャケットやスラックスのダボ付き具合がバブルが終わった後の平成初期を思い出させます。山根さんのイラストの男性はちゃんと眉毛が太いですからね、平成へのリスペクトがキラリと光ります。
80年代後半、まさしくバブル経済と昭和が終わりに差し掛かった時に「YAWARA!」や「ツルモク独身寮」といった漫画のスタイルは、それまでの漫画よりもポップでスタイリッシュに感じたものです。
山根さんの平成レトロなイラストはわたせせいぞうさん的なスタイルと、「YAWARA!」や「ツルモク独身寮」のコミックスの装丁のマッシュアップのようで、懐かしいけど新しいを体現しています。
火曜び(TUESDAY)
あの頃は、ママもパパも若かった pic.twitter.com/StlYjc9V5x
— 火曜び(TUESDAY) (@tues0929day) February 6, 2021
火曜び(TUESDAY)さんは、福岡出身のイラストレーター。現在は仕事をする側らイラストを描いているそうです。
80年代~90代のアニメや漫画のテイストを現代の視点で捉えた作風は多くの若い女性からの支持を受け、アパレルコラボやミュージシャンのアートワークに起用されています。
太目の線画とポップな色使い、現在ではあまり使われなくなったスクリーントーンによる陰影が80年代~90年代のイラスト感を強めています。
福岡出身ということで最近では福岡ソフトバンクホークスが行うイベント「タカガールデー2022」とのコラボも実現。ソフトバンクホークスを応援する若い女性=タカガールを火曜び(TUESDAY)さんが手がけています。
元々は、尾崎豊が好きだったという火曜び(TUESDAY)さん、当時のファッションやカルチャーにも興味を持って掘っていった先がこの作風に繋がったとか。
実際に1990年代を知らない世代が90年代的カルチャーを描き、同じく1990年代を知らない人に受け入れられていく流れが興味深いですね。
寺田てら
— 寺田てら (@trcoot) September 25, 2022
ドイツ生まれでドイツ育ちという異色の経歴を持つ寺田てらさんは、東京造形大学卒業のイラストレーターです。
ポップでカラフルなディフォルマされたキャラクターは、何処か80年代~90年代のコロコロコミックやボンボンに掲載されていた漫画を思い出させます。
ナナヲアカリさんによる「チューリングラブ feat.Sou」や「ダダダダ天使」といった楽曲のMVイラスト、Adoさんの「阿修羅ちゃん」のMVイラストを手がけるなど若い世代へのリーチも絶大です。
ボカロ楽曲のMV制作や様々なVTuberグッズのイラストも数多く担当しており、オタク領域のユーザーからも支持されており、現在では一般層にも認知を広めている新世代のクリエイターです。
90年代に関する記事について
POKImari
Devil Mint😈 pic.twitter.com/WrjjPevnJv
— POKImari (@POKImari02) July 30, 2022
POKImari とポキマリと呼びます。
POKImariさんは、ゲーム会社を経て2015年よりイラストレーターとして活躍しています。
主にイラストの制作以外にも、アニメキャラクターの原案、ゲームキャラのデザイン、Vtuberデザイン、書籍の挿絵、専門学校へのゲスト講師から数々の企業とのタイアップ案件など、その活動は多岐に渡る売れっ子イラストレーターです。
その作風は90年代のパソコンゲームのキャラクターやアニメキャラクターを思い出させます。
実際のアニメやゲームのキャラクターの様な世界観を感じるコスチュームやデザイン、セル画の様なカラーリングがより90年代を感じさせます。
popman3580
ギターガール🎸 pic.twitter.com/O2ZOZPGUsT
— popman3580/画集発売中 (@popman3580) July 30, 2022
popman3580さんは、奈良県出身で大阪芸術大学卒のイラストレーターです。
線は細めで手足が長い女の子のキャラクターを中心に作画されています。軽やかなタッチで描かれたしなやかでキュートな女の子のイラストは、若い男女からの支持を得ています。
イラスト作成だけにとどまらず、アパレルブランドとのコラボレーションやキャラクターデザインなど活動の幅を広めています。
一般的にpopman3580さんの名前がより広まったのは、2020年5月と2021年8月に発表されたお笑い芸人・粗品さんの楽曲「怪獣少女は火を吹かない」や「ビームが撃てたらいいのに」のボカロMVにイラストが使用されたときではないでしょうか。
ただ可愛いだけでなく指の先まで意識されたタッチに、可愛さを引き立てる独特のポージングが相俟ってpopman3580さんのキャラクターは魅力に溢れています。
ジブリを愛してます、との言葉通りに公式のInstagramにはジブリキャラクターのイラストを大量に投稿しています。
現在は精力的に個展を開催したり、同初画集『CITRUS popman3580 アートワークス&スケッチ』を刊行して更に人気を広げています。
江口寿史
先週ちょうど盛岡行ってる時だったんですね。ここで配布された冊子もようやく見ましたが、なかなかの充実ぶりだったですね。 pic.twitter.com/OtHzhYqipa
— 江口寿史 (@Eguchinn) August 10, 2022
江口寿史さんといえば日本人なら誰でも知っている漫画家であり、イラストレーターです。
キャリアのスタートは80年からで、週刊少年ジャンプにて「すすめ!! パイレーツ」や「ストップ!! ひばりくん!」を連載、ポップな絵柄とキレのあるギャグで後の漫画界に大きな影響を与えました。
特に女性のキャラクターを描くのに定評があり、80年代中盤からはイラストレーターとしての仕事が増えていきます。
ベースとなる絵柄は80年代からは大きく変わってはいませんが、時代ごとに作風を変えて今日でも一線で活躍されています。
90年代の江口寿史さんは、漫画の仕事とイラストレーターとしての仕事数が逆転してきた頃で、日本テレビ系列の人気バラエティ番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の オープニングアニメを手がけたり、
ファミレスの「デニーズ」のメニューイラスト、「老人Z」「PERFECT BLUE」といったアニメ映画のキャラクターデザインや原案といった分野にまで進出し仕事の幅を広げていました。
いつの時代でも江口さんの描く女の子はキュートでクールで、女性のリアルな姿と時代ごとの流行やライフスタイルが上手くマッチしています。
今回、紹介した平成レトロなイラストレーターの方以外にも江口さんから影響を受けたイラストレーターやクリエイターの方は多数いることでしょう。
また、ミュージシャンやバンドとのコラボレーションやお仕事が多いことでも有名で、銀杏BOYZの代表作とも言える「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」のジャケットなどは誰しもが一度は見たことがあるはずです。
まとめ
今回は、80年代~90年代のアニメや漫画に影響を受けた平成レトロなイラストレーターさんを紹介しました。
この記事で紹介した作家さん以外にもまだまだ素敵な作家さんはいらっしゃるので、イラストが好きな方、レトロなイラストに興味を持った方は色々チェックしてみて下さいね。