J-POPは、日本のポップミュージックを表す言葉として一般的です。
J-POPという言葉が最初に使われたのは1988年ごろでしたが、今では日本のポップカルチャーの一部であり、J-POPは、ジャズやバラード、ポップ、ロック、フォークまで、さまざまな音楽ジャンルに適用されています。
この記事では、J-POPの成り立ちから現在に至るまで、どの様にJ-POPが広がっていったかを解説します。
J-POPの歴史
J-POPの起源を見てみると、その単語を創出したのはラジオ局である「J-WAVE」で、元々は洋楽を流すFM曲に掛けても違和感のない日本のポップスという意味合いで使われていました。
現在は、日本における大衆向けの音楽という包括したジャンルとして使用されているJ-POPですが、その歴史を見てみましょう。
J-POPの初出
J-POPという言葉が、日本の音楽を指す言葉として使われたのは1980年代の頃。
この単語を作ったのはFMラジオ局の「J-WAVE」で、同局で1989年に始まった「Jポップ・クラシックス」というコーナー名がルーツとされています。
元々は洋楽と一緒に流しても違和感のない日本のポップやロックとして使われていました。
それ以前にも、もちろん日本のポップスや日本のロックは一般的でしたが、洋楽に影響を受けた日本の音楽としてJ-POPは認識されていたのです。
J-POPの浸透
始めて公に使われるようになったのは1988年からですが、特定のFMラジオ局が作った言葉ということもあり当初はそこまで一般には広がりは見せていませんでした。
確かに他のラジオ局からすると、「J-WAVE」が作った一音楽ジャンルというのは使用しづらい雰囲気はありますね。
実際にJ-POPが一般のリスナーに浸透してきたのは1993年〜1995年頃。
この頃になるとトレンディドラマやCMとのタイアップによりJ-POPのアーティストやワードはお茶の間レベルで浸透していきます。
1995年3月に移転した渋谷のタワーレコードではJ-POPのフロアが新設されるなど1990年代に入ってからJ-POPというジャンルは一気に花開いていきました。
それまでの音楽との違い
J-POP以前にもポップスやロックはスタンダードではありましたが、より一般的な音楽ジャンルは歌謡曲でした。
歌謡曲という言葉自体もジャンル全体を包括するような使われ方をしており、グループサウンズや昭和のアイドルポップス、果ては日本語歌詞のシャンソン、カンツォーネ、ラテン、ハワイアンや、大衆向けに歌われていた日本語のジャズなどもひっくるめて歌謡曲として扱われていました。
アーティストでいえば美空ひばり、江利チエミ、由紀さおり、岩崎宏美、太田裕美、倍賞千恵子、加藤登紀子なども歌謡曲の括りです。
特定の音楽ジャンルというよりかは、大衆向けの音楽を表す言葉として1990年代以前が歌謡曲、1990年代以降はJpopと分けられます。
また、Jpopと歌謡曲の違いでいえば歌詞の意味よりもリズムやノリを重要視する方にシフトしていきました。
昔は洋楽と邦楽に時間差があり、洋楽でヒットしたものが邦楽にもフィードバックされていたのですが、いつしかその時間差も解消されてきて、サザンオールスターズに代表されるようなリズムやノリ、分かりやすい日本語歌詞のJ-POPへと変遷していったのです。
日本の音楽の歴史
日本における流行歌の歴史は、1920年代から第二次世界大戦後、1950年代からの演歌や歌謡曲の時代、1970年代移行のポップミュージックの盛り上がり、1990年以降のJ-POPブームと続いてきています。
昭和初期のジャズブーム
1926年から1945年の第二次世界大戦の終わりまで遡れば、昭和初期はポピュラーなジャズ音楽が流行していました。
ジャズの生演奏が楽しめるおしゃれなカフェ「音楽喫茶」も登場して世の中を賑わせていたようです。
一旦、第二次世界大戦でジャズ音楽の盛り上がりは途絶えますが、終戦後にはまた勃興。
1952年は日本で「ジャズブームの年」として有名になっています。
歌謡曲や演歌の時代からエレキサウンドへ
次の音楽スタイルのムーブメントとして、ロックンロールやリズム・アンド・ブルースなどの西洋のポピュラー音楽が1950年代後半頃に浸透し始めます。
その後に出てきたのが、抒情的な楽曲に日本人の心を歌った演歌と、より洗練されたボーカルと楽曲の歌謡曲です。
そして、その後にはエレクトリック ギターを主体としたバンドの台頭と、ビートルズやその他の 60年代のポップスやロックに影響を受けたグループサウンズの台頭へと繋がります。
シティポップやニューポップの時代
1970年代に入ると音楽はより洗練されハードロック、フォークロック、パンクなどと細分化していきます。
特にポップスは、80年代のアイドルポップス、シンセサイザー主導のエレクトロポップ、より洗練されたシティポップへと枝分かれ。
現在人気が再燃しているシティポップは、東京などの都市部に焦点を当てた、ソフトロック、ファンク、ブギーの一種のアーバンフュージョンを包括したジャンルとして当時の若者に受け入れられていました。
J-POPの台頭
先述したようにJ-POPが生まれたのが1988年で、一般的に浸透していくのが1990年初頭。
当時のムーブメントであったトレンディドラマやカラオケの影響もあり、J-POPは新しい世代の大衆音楽を指す言葉として認識されることになります。
時代は昭和から平成に移り変わり、ミュージック シーンはJ-POPがメインストリームとなっていきます。
1990代初頭にはテレビ番組の「イカすバンド天国」通称イカ天やホコ天の影響でバンドブームも到来。それによりB’zやMr. Childrenなどのバンド志向のサウンドがプラチナセールスを達成したこともあり、ジャンルとしても拡大。
1997年にリリースされた安室奈美恵の「Can You Celebrate?」のようなモダンなR&Bやダンス志向のアーティストも人気でした。
日本の音楽史においてJ-POPは、日本の近代化・西洋化に伴って歌謡曲に取って代わった大衆向けの音楽ジャンルなのです。
J-POPの特徴
J-POPには他の音楽ジャンルと異なる特徴をいくつか持っています。
1.日本人向けに作られている
日本の人口は約1億2,000万人で、韓国の2倍以上の人口が日本にはいます。
K-POPが世界を視野に入れたプロモーションや活動をおこなっているのは自国内のマーケットが狭いからという理由があります。
しかし、J-POPの場合、アーティストやバンドのほとんどは日本人に向けて楽曲を作っています。
日本以外のリスナーに売り込むことをしなくても日本の音楽市場内で成功すれば活動はしていけるのです。
このことからもJ-POPは音楽的には多様ですが、海外の音楽シーンの影響をあまり受けていないといえます。
2. 曲の構成
J-POP自体の起源は洋楽と遜色ない日本のポップスやロックという位置づけでしたが、今では特にそんなことはありません。
J-POPは、海外のポップスやロックよりも伝統的な日本の音楽に近いコード進行とボーカルを特徴としています。
ボーカルはピッチが高くなる傾向があり、メロディーは覚えやすく親しみのあるものが多いとされています。
JPOPにおける曲の構成は「イントロ」「Aメロ」「Bメロ」「サビ」といった流れで、「サビ」の部分に一番の盛り上がりを設定しているのも特徴です。
J-POPには「サビ」があり、洋楽では「サビ」がないといったことからも現在のJPOPは洋楽の影響下から外れていると考えられます。
3. リズムよりもボーカルや歌詞
「J-WAVE」でJ-POPというワードが使われ始めた当初は、J-POPは洋楽と遜色がない、洋楽に影響を受けた新しいポップスという意味合いで使用されていました。
しかし、J-POPという言葉が作られてから実に30年以上経った今となっては、その意味合いや特徴も変化しています。
特に1990年代以降のJ-POPで顕著なのは、リズムよりも歌声や歌詞を重要視していることです。
昔は歌謡曲と比べてリズムやノリを重要視していたとされるJ-POPですが、現在は音楽におけるリズムやノリよりも、ボーカルの歌声や共感できる歌詞の方が重要視されている傾向にあります。
一方で、モダンなR&Bやグルーヴィーなサウンドを取り入れているJ-POPのアーティストもいることから、将来的にはまた変化していくかもしれません。
まとめ
1990年代に花開いたJ-POPのムーブメントは日本の音楽史に大きな足跡を残しました。
J-POPという言葉が生まれた時からすでに30年以上が経過しましたが、J-POPは変化と進化を続けています。
現在、日本だけでなく世界中で、YoutubeやTikTokのようなSNSや動画メディア、SPOTIFYなどのサブスクリプションサービスが人気を博しています。
それらのメディア発信でアーティストや楽曲がブレイクしていることからも、次世代のJ-POPはさらに進化していくことが予想されます。